起業家を育む、支える。群馬が変わる。群馬イノベーションアワード2018
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第5回米国研修ツアーレポート 起業の野心 満ちた街

好況が続くサンフランシスコのビジネス街。クラウドサービス大手のセールスフォース本社の丸みを帯びた高層ビルが目を引く。
群馬イノベーションアワード(GIA)2017関係者34人は4月26・27の両日、ベンチャービジネスの中心である米サンフランシスコ市と、IT関連産業が集積する近くのシリコンバレーを視察に訪れた。ビジネスチャンスやパートナーとなる人脈を求め、才能豊かな人材が世界中から流れ込む地域。そこは常識を疑い、失敗を恐れずに挑戦する野心的な環境に満ちていた。

IoT(モノのインターネット)の最新商品を展示するショールームを視察する参加者=サンフランシスコ

常識外れの革新 手助け

高速道を走る車窓からはカリフォルニア湾を望む小高い丘が何層にも連なって見えた。そのどれもが小ぶりな住宅に埋め尽くされている。

「米国の住宅サイズとしては相当小さい。それでも価格は平均1億円」。20年以上も現地に住む女性ガイドの説明に驚かされた。高額な報酬を得るシリコンバレーのエンジニアらのベッドタウンとして、サンフランシスコ市内の地価は高騰し続けている。

好況の原動力はベンチャービジネスだ。2009年の創業から10年足らずで時価総額8兆円となった配車サービス大手のウーバーをはじめ、爆発的な成長を遂げる企業も少なくない。

クラウドサービスのエバーノート日本法人元会長の外村仁さんによると、技術革新によりかつては不可能だったことが次々と可能になっている。「今までの『常識』に縛られては何も生まれない」。例えば電気自動車(EV)のテスラは、自動運転のEVトラック車列で鉄道よりも低コストの輸送システムを構想しているという。

現地で起業家育成を進めるWiLの共同創業者CEO、伊佐山元さんは、起業家精神について「暮らしの問題を自分の手で解決したいという情熱」が柱になると指摘する。

「その熱意を、誰かが手助けをしようとする。これこそがシリコンバレーの強さだ」と力を込める。

アップル新本社見学 仕事に最高の環境 遊び心あふれる仕掛け

模型にタブレットを向けるとアップル本社の外観がリアルに映し出される=ビジターセンター

カリフォルニア・クパティーノにあるコンピューター大手、アップルの新本社は広大なリングの形状をしている。昨年9月から順次引っ越し作業が行われている。

一行が視察に訪れたビジターセンターには白色をした無機質な本社社屋の模型が設置されていた。「これを使って見てごらん」。女性スタッフがウインクをしながらタブレット端末を差し出した。

モニターを動画モードにして模型にかざすと、画面は太陽光パネルが敷き詰められた屋根を備えた社屋外観をCGで映し出した。再現される周辺の森の緑も見事だ。

画面に触れると、屋根が取り外されるように持ち上がり、社屋内の構造を見られる仕組み。タブレットの向きを変えたり近づけたりすれば、あらゆる角度からの眺望が再現される。遊び心あふれる仕掛けに見学者の歓声が響く。

スタッフは「新本社にはアップルの思想が反映されている。つまり『クリエイティブな仕事をするには、最高の環境が必要』ということだ」と誇らしげに話した。

ビジターセンターには最新のアップル製品を紹介しているほか、高級ブランドとコラボしたグッズなどが限定販売されている。

新たな展開 常に構想

  • 伊佐山元さん伊佐山元さん
  • 外村仁さん外村仁さん
  • 高橋明希さん高橋明希さん
  • 三浦茜さん三浦茜さん
  • 金松孝司さん金松孝司さん

米国研修で講師を務めた専門家は、「ベンチャービジネスの根幹は暮らしを豊かに変えること」と異口同音に指摘した。正解のない問題を自分なりに解決し、見過ごしている現状の課題を発見することこそ未来を切り開くという発想は、日本が学ぶべき示唆に富む。

WiL共同創業者CEOの伊佐山元さんは起業家を育成している経験から、「創業期は焦って大多数の支持を得る必要はない。少数でも満足度が高いことが大切」と指摘。また、企業勤務で技術や経験を積んだ中高年の起業が多いとして、「挑戦に遅すぎることはない」と強調した。

「日本の教育は課題解答に主眼を置くが、技術革新とともに変化する社会に『正解』はあるだろうか」。クラウドサービスのエバーノート日本法人元会長の外村仁さんは疑問を投げかける。「解のない問題を解決する力、見過ごされた問題を掘り起こす力が求められている」とした。

都内の自動車教習所社長を務めながら、シリコンバレーで経営コンサルタント会社を起業した高橋明希さんは「新技術を取り込み新たな事業展開を常に構想することが大切」と述べた。

ベンチャーキャピタルでマーケティングを担当する三浦茜さんは「顧客の好みを分析するサービスの拡充により、暮らしの中で『決める』という負担が少なくなっている」と分析した。

「おにぎりのおいしさとヘルシーさを全米に広めたい」。おにぎり店「オニギリー」のチェーン展開に取り組む金松孝司さんは健康効果をセットにしたアピールの大切さを解説した。

10代 英語でプレゼン

  • 奥谷さん 患者助ける飲食店情報堂々とプレゼンテーションする奥谷さん
  • 大塚さん・原沢さん ランドリーとカラオケ笑顔で質疑に応じる(右から)大塚さん、原沢さん

シリコンバレー研修では、GIA2017で大賞に輝いた中央中等教育学校6年の奥谷哲郎さん(17)ら10代の3人が、起業家育成のプロを前に自らのビジネスプランを英語でプレゼンテーションした。投資家目線の鋭い指摘や質問にも動じることなく応じ、事業化への好感触を得た。

日本の大手企業と連携して現地で起業家育成を進めるWiLの共同創業者CEO、伊佐山元さんと同社ジェネラルパートナーのロブ・シアスさんが発表に耳を傾けた。

奥谷さんは、食物アレルギー患者が自由に外食するための飲食店情報の共有サイト「FREAT」を発表。ロブさんは「事業化の大きな可能性を秘めていて驚いた」と高く評価し、「飲食店を巻き込んで店舗情報を盛り込むべきだ」などと助言した。

発表後、奥谷さんは「指摘されたのは自分でも検討した内容。やはりその視点が大切かと気づき、参考になった」と振り返った。

また、利根実業高校の在学時にビジネスプラン部門高校生の部で入賞した大塚菜々実さん(18)=東日本栄養医薬専門学校=と原沢藍子さん(18)=県立農林大学校=も発表。

コインランドリーとカラオケを組み合わせた新業態「カランドリー」の提案に対し、伊佐山さんとロブさんは「ほかの組み合わせはできないか」「働く女性だけでなく、大学生にも受け入れられそうだ」などと指摘した。

メモを取りながら講話に聞き入る半沢さん

GPA最高賞 半沢さん参加 刺激的な経験 将来に生かす

GIA研修には3月に開かれた「ぐんまプログラミングアワード(GPA)2018」で最高賞のMVP・総務大臣賞に輝いたペアのうち、前橋市の半沢七海さん(中央工科デザイン専門学校)が参加した。
ウーバーやWiLを視察し、現地の女性起業家の高橋明希さんらの講話を興味深そうに聴き入った。「『自分が何をやりたいか』を明確に持っている芯の強さと、それを実践する行動力」をまぶしく感じたという。
海外渡航は今回が初めて。さまざまな人種の人が力を合わせて働くシリコンバレーや、多様な文化が共存するサンフランシスコの街並みに圧倒されたが、「この刺激的な経験を将来に生かしたい」と笑顔をのぞかせた。

プチ情報

サンフランシスコ市街川場ビールが人気

サンフランシスコ市中心街にある人気の居酒屋「銀兎 GINTO」では、田園プラザ川場(川場村)が製造する地ビール「川場ビール」が人気となっている。「常連さんの中には『カワバ』好きが結構いますよ」。同店によると、米国産の地ビールも20種類以上そろえるが、川場ビールは人気商品の一つという。女性店員は「川場ビールはフルーティーな香りが好まれている。日系企業の関係者が接待で使うことも多いみたい」と話していた。

受賞者研修レポート

米国・シリコンバレー研修ツアーには大賞と各部門で入賞した受賞者7人が参加しました。
現地での講義や企業視察などを通して感じたことをレポートします。(所属・肩書きは応募時)

奥谷哲郎

大賞(ビジネスプラン部門:高校生の部)

中央中等教育学校

奥谷哲郎

このシリコンバレー研修は僕にとって今後の事業だけでなく、自分の生き方を再考する絶好のチャンスでした。

ツアー1日目は、シリコンバレーに拠点を置くスタートアップ支援組織WiLで、現地の投資家に対して自分の事業のピッチを披露しました。僕が開発している「フリート」は、食物アレルギー患者のためのQ&A型グルメサービスです。英語でのピッチでしたが、緊張せずに落ち着いて楽しむことができました。

数々の刺激的で歯切れの良い講義にも、たくさんのひらめきがありました。その時、常に頭にあったのは「おじさんの成功体験はもう役に立たない」という言葉です。これもシリコンバレーで活躍するおじさんが言っていたことですが、時代の変化が急激なスピードで進んでいく今日において、たった10年前の当たり前が今となっては化石のように思われることは珍しくありません。

今の大人は大学に行って、大企業に就職して、幸せを手に入れたかもしれません。しかし、今その成功の方程式が通用するとは限らないと思います。なぜなら、時代は変わっているからです。過去や現在の習慣を疑い、未来に対して自分なりの仮説を持つ。スタートアップにおいて、これほど重要なことはないのではないかと感じました。

そんな魅力的なシリコンバレーを見て、日本との大きな格差を痛感しました。イノベーションが根付いた、あの文化土壌は日本にはありません。だからと言って、「さすがシリコンバレー」で終わるのは非常にもったいないことだと思います。

「学び」より「発見」。単に知識を得るためだけの学びは、これから意味を失うと考えます。大切なことは、そこに自分の考えをどう付け加えるか。自分はそれを良いと思うか、悪いと思うか。自分はその価値は何だと思うか。自分はそれを使って何ができるのか。そんなことを考えながら17歳の僕は生きています。

大塚菜々実

入賞(ビジネスプラン部門:高校生の部)

利根実業高校

大塚菜々実

この研修は大変貴重な経験となり、たくさんの刺激を受けた5日間でした。

初日は私たちのビジネスプラン、〝カランドリー〟を英語でプレゼンしました。この発表に向け、約4カ月間試行錯誤しながら練習を重ねてきました。慶応大学湘南藤沢キャンパスの学生の皆さんの協力でブラッシュアップし、多くのアドバイスをしてもらいながらアメリカで通用できるプレゼンとなるよう頑張ってきました。

本番はあまり緊張せず、自分たちが今までやってきたことを十分に発揮できました。アメリカの投資家の皆さんやGIA受賞者の方々に私たちの考えていることや、意見を聞いてもらうことができ、とても良い機会になりました。

また、伊佐山さん(WiL共同創業者CEO)の講義では技術変化とビジネスについて学びました。始まりはとても身近なところに存在していて、失敗は恐れず、失敗することで何かを得ることができると改めて実感しました。

自動車教習所の女性社長である高橋さんの講義も聴きました。同じ女性として、共感できる部分が多くあり、とても勉強になりました。午後はコンピューター大手、アップルパークのビジターセンターを見学しました。現在の技術変化について考えさせられる空間でした。何気なく使っていたスマートフォンが、このような素晴らしい地で作られていることに驚きました。

2日目は配車サービス大手、ウーバー本社の視察や、貴重な講義を受けました。ウーバー本社で外村さん(エバーノートジャパン元会長)、群馬県出身の研究者の話を聞きました。自ら積極的に行動し、課題を発見してその課題をどのように改善し、より良い社会にしていくかを考えていくことが重要だと学びました。

この研修に参加し、1分1秒も時間を無駄にしてはいけないと思いました。失敗を恐れず、何事にも挑戦する気持ちが大切です。今後は自分の目標に向かって頑張り、社会に貢献できる人材になれるよう努力していきます。

入賞(ビジネスプラン部門:高校生の部)

利根実業高校

原沢藍子

今まで私が見ていた世界は小さいということに気付きました。同じ日本人が現地で起業、研究をしており、私も頑張らなくてはと背中を押された気がしました。英語が得意ではない私が英語で発表したことや、たくさんの方々から聞いた話を通し、人間やれば何でもできることも教えてもらいました。今通っている学校を卒業したら、就職する予定でいますが、職業の選択肢の幅が広がり、さらに日本ではなくてもいいかなとも考えが変わりました。

発表では、今まで私たちが考えていたものと違う活用方法などを提案してもらいました。日本でしかできないと思っていたのにアメリカでもできるのではないかという考えも出てきて、たくさんの方の意見を聞くことは大切だと学びました。

配車サービス大手のウーバー本社では、群馬県出身の研究者が講演で「近い将来、車の大半が不要になる」と言っていました。今はまったく想像できませんが、本当にそうなったら夢のようなことだと思います。

伊佐山さん(WiL共同創業者CEO)の講演の中で「今やらないと誰かがやってしまう」「あの時やっておけばよかったと後悔したくない」という言葉がありました。本当にその通りだと思います。これからの生活で何かをひらめいた時などはやってみようと思います。たくさん失敗していいそうです。日本は失敗してはいけないという社会なので、失敗できるとしたら学生の今しかないと思います。

日本は豊かで、とてもいい国だと改めて感じました。ですが、全員が過ごしやすいかと言ったらそうではないと思います。これから、日本がどのように変わっていくのか楽しみです。

たくさんの方々から聞いた話、現地で学んだ知識、これらの経験を十分に生かし、これからの人生を歩んでいきます。

入賞(ビジネスプラン部門:大学生・専門学校生の部)

共愛学園前橋国際大学

工藤龍廣

研修は毎日が刺激的であり、現在イノベーションについて研究している私にとって実り多い体験でした。

研修初日の伊佐山さん(WiL共同創業者CEO)の話は、イノベーションにおける米国と日本の考え方が大きく違うことを感じさせられました。なかでも「失敗」という言葉の捉え方が日本人と外国人では異なり、日本人は「失敗」に対してマイナスな思考を持つ人が多いのに、外国人は失敗を恐れて何もしないことをマイナスに捉えているため、日本ではイノベーションが起こりにくい環境なのではないかと感じました。さらにオニギリーを経営している金松さんの話も同様に、何度失敗しても諦めず、継続して挑戦することの意味を教えられました。

その後の高橋さん(ブリリアントホープ創業者)の話も示唆に富んでいました。両親が自営をしている私自身も後継者としてのマインドやあり方に関して学ぶことが多く、そのなかでも高橋さんの決断力や行動力には圧倒されました。

翌日のウーバー本社で行われた外村さん(エバーノートジャパン元会長)の話には、自身の価値観や常識を疑うような瞬間が多々ありました。そのなかでも「日本のオプトイン思考と米国のオプトアウト思考」はまさに上記の「失敗」の捉え方と類似している部分があると思いました。また、ベンチャーキャピタルでマーケティングを担当する三浦さんに紹介していただいた多くのビジネスにもオプトアウト思考が強く感じられ、日本では失敗を恐れてやらないようなこともシリコンバレーでは挑戦できる環境が整っていることが成功要因であると感じました。

さらにウーバーの研究者の話から、ウーバーは環境問題を解決できるサービスであるということに社会貢献の必要性を強く感じました。ビジネスモデルを考案する際に社会貢献を重要視していた私にとって、それが正しかったことを確信できる瞬間でした。

入賞(ビジネスプラン部門:一般の部)

コピーライター

星野智昭

〝自由の国アメリカ〟。今まで断片的な情報のみからイメージしていた、その「自由」の真意をビジネス・起業の視点で直接感じることができた米国研修でした。

カリフォルニアを含む西海岸は特に多人種で、白人・黒人・メキシコ系・アジア系など、さまざまな人種が互いの多様性を認め合いながら暮らしています。特にサンフランシスコは19世紀のゴールドラッシュを背景にした開拓者精神が色濃く宿る都市でもあります。その土地の空気を吸い、街を歩いていると、「あなたはどう生きたいのか?」「あなたはどう考えるのか?」という質問を突き付けられたような気になります。アメリカでは自らの哲学・理念・スタイルを伝え続けなければ、その価値は多様性のなかに埋もれ、脚光を浴びることは一切ないのだと感じました。

GIAでも講演した外村仁さん(エバーノートジャパン元会長)からは「答えがないことが多い時代、社会に潜在している問題を新たに設定する力が求められている」とのお話がありました。どう生きるか、どう考えるかが求められるアメリカの空気を吸いながら聞く言葉は、いっそう体に染み入りました。

ウーバー本社で講演してくれた研究者の仕事は、モビリティが環境に与える影響を研究すること。市場をリードする企業の先進的な取り組みに驚くとともに、世界最大のユニコーン企業と言われるウーバーでさえ、理念を下支えする研究を始めたばかりなのだと意外な思いもありました。

ウーバーの事業は当初、「セレブな気分を味わいたい」というユーザーへのリムジンの配車サービスがスタートであったそうです。つまり、まずは顧客ニーズを満たすサービス品質が第一。サービスを通して社会課題を解決した先で、少しずつ理念を磨いている姿を垣間見ることができた気がします。

何よりまずは「やるか、やらないか」。そこにこそ、すべての価値のスタートがあると実感できた研修でした。

入賞(スタートアップ部門)

NPO法人ソンリッサ

萩原涼平

サンフランシスコは多様な人種、文化がカオスに同居していてチャイナタウンがあったり、ウーバーの運転手の方は日本人街もあると言っていたり、街の景色や人々を見ているだけでも刺激的でした。街を歩くとホームレスもよく見かけ、治安の悪い場所もあったり、貧富の格差をすごく感じました。

ガイドさんが言っていたシリコンバレーの成り立ちも興味深かったです。「灰の中から蘇った町」と呼ばれていたことや、ゴールドラッシュによって当時のアメリカでは「普通ではない」と呼ばれていた自由な人たちが集まってきた話は、現在のサンフランシスコやシリコンバレーを形作っている一つの要因で、このような人々の文化やコミュニティーが今につながっていて面白いと思いました。

現地の起業家の方々の講義は学びが多く、自分自身を振り返るきっかけになったり、日本を離れて海外で起こっていることや文化などを体感する必要性を感じました。

特に響いた言葉はWiL共同創業者CEOの伊佐山さんが言っていた「売り上げやユーザー数をKPIに設定するのではなく、初期はユーザー数が少なくても熱狂的なファンを持つサービスがシリコンバレーでスケールしている」という言葉でした。

他にもウーバー本社の研究者の講義内容はすごく関心のあることだったので、印象に残りました。シリコンバレーは助け合いや失敗OKの文化があり、エンジェルや投資家との距離感が近く、優秀な人材が集まっていて素晴らしいです。

一方で、困っている人や苦しんでいる人が社会にはいるという事実を見て見ぬ振りをしていては、本質的に人は幸せになれないのでは?と思っているので、一つの物事に向き合うときに多角的な視点から見られるように意識したいです。

入賞(イノベーション部門)

三田三昭堂

三田英彦

私はGIS(群馬イノベーションスクール)に学び、GIA(群馬イノベーションアワード)では念願のイノベーション部門賞を受賞することができました。自身はファミリービジネスの3代目ですが、本業とは異分野のベンチャービジネスの創業者となり、社会貢献をやり遂げるという野心を抱いていました。

イノベーションの定義には諸説ありますが、GIS講師の長谷川先生から教えていただいた「不可逆的でWOWと驚がくしてしまうほどの社会変革を伴う事業がイノベーション」という解説が一番腹に落ちました。アワードで入賞を果たせばSV(シリコンバレー)研修に招待していただけるので、どれだけのWOWと出合うことができるのか渡航前は大変ワクワクしていました。同時にアワードで発表した内容を絵空事で終わらせてはならないと責任の重さも感じていました。

SVはWOWに満ちていましたが、最も有意義であったのは、現地で事業を切り開いてきた日本人(WiL・伊佐山元氏、ブリリアントホープ・高橋明希氏、エバーノートジャパン元会長・外村仁氏、ウーバー・研究者、プロダクトハンター・三浦茜氏、オニギリー・金松孝司氏)の生の声を聴くことができたことでした。居心地のいい日本を離れてSVで闘ってきた人たちの重い言葉が刺さりました。

SVでの日本人の評価は「見て・聴いて・学んで・帰って・おしまい」なのだそうです。アクションを起こせない残念な集団なのです。SVを生み出したスタンフォード大に数多くいる留学生の中で日本人の影は薄いとも聞きます。「日本は大丈夫なのか…」。一番のお土産は強い危機意識を植え付けられたことにあります。

SVに行き安心したこともあります。企画力と情熱があれば、「人・カネ・モノ」がそれほどそろっていなくても走っていくうちに人的ネットワークが補ってくれることを知ったからです。群馬が軸となりますが、私はSV的に今後も臆せずガンガン攻め、オープンイノベーションを成し遂げたいと誓ったのでした。